ヨーガ・スートラ第2章30節|ヤマ:社会的な行為の指針

この記事の内容について

このブログでは、ヨーガ哲学の古典『ヨーガ・スートラ』を、一節ずつ丁寧に読み解きながら解説しています。
原典の考え方を大切にしつつ、現代の心のあり方や日常生活と照らし合わせ、その意味を考察しています。

ヨーガをポーズだけでなく、心の仕組みや生き方の智慧として理解することを目的に綴っています。
今回の記事も、その流れの中の一節についての考察です。

ヨーガ・スートラ第2章30節

『非暴力、正直、不盗、不淫、不貪が禁戒である』

解説

第2章30節では、ヨーガの土台となる「ヤマ」について示されています。ヤマとは、社会の中で他者と関わりながら生きていくうえで大切にすべき行いの指針です。心を整える前に、まず日々の行動や態度を整えることが必要であると説かれています。

ここで挙げられているのは、アヒンサー(非暴力)、サティヤ(真実)、アステーヤ(不盗)、ブラフマチャリヤ(節制)、アパリグラハ(不貪)の五つです。

アヒンサーは、言葉や態度、思いの中にまで及ぶ「害を与えない姿勢」を意味します。サティヤは、事実だけでなく、誠実で調和を生む真実のあり方を大切にすることです。アステーヤは、物だけでなく、時間や信頼など他者の大切なものを奪わない姿勢を示しています。

ブラフマチャリヤは、自分のエネルギーを無駄に消耗させず、目的に沿って大切に使う節度のある生き方を指します。そしてアパリグラハは、必要以上に求めたり抱え込んだりせず、執着を手放していく姿勢を表します。

これらは単なる道徳ではなく、心を乱す原因を減らし、内面の静けさを育てるための実践です。ヨーガはまず、人との関わり方や生き方そのものを整えることから始まるという大切な視点が、この節には込められています。

現代視点での解釈

第2章30節では、ヨーガの土台となる生き方として「ヤマ」という五つの姿勢が示されています。これは、心を整えるためにまず日常の行動や人との関わり方を見直すことが大切だ、という教えです。

現代の生活にたとえるなら、「心のトレーニングを始める前の基本的な生活習慣」のようなものです。たとえば、イライラしたときに強い言葉で相手を傷つけないようにすること(非暴力)、その場しのぎの嘘ではなく誠実な言葉を選ぶこと(真実)。こうした姿勢は、人間関係のストレスを減らし、心の負担を軽くしてくれます。

また、人の物や時間、信頼を当たり前のように奪わないこと(不盗)、エネルギーを浪費しすぎず大切なことに使うこと(節制)、必要以上に物や評価を求めて抱え込まないこと(不貪)。これらは、気づかないうちに増えていく心の重さを減らしてくれる考え方です。

こうして見ると、ヤマは特別な修行というよりも、「心が穏やかに過ごせる環境を自分で整える生活の知恵」とも言えます。周りとの関係が整うほど、内側の心も落ち着きやすくなり、その先のヨーガの実践が自然と深まりやすくなるのです。

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