ヨーガ・スートラ第2章38節|節制が生む活力

この記事の内容について

このブログでは、ヨーガ哲学の古典『ヨーガ・スートラ』を、一節ずつ丁寧に読み解きながら解説しています。
原典の考え方を大切にしつつ、現代の心のあり方や日常生活と照らし合わせ、その意味を考察しています。

ヨーガをポーズだけでなく、心の仕組みや生き方の智慧として理解することを目的に綴っています。
今回の記事も、その流れの中の一節についての考察です。

ヨーガ・スートラ第2章38節

『不淫に徹していると強健力が得られる』

解説

第2章38節では、「ブラフマチャリヤ(節制・純潔)」が確立されたとき、その人には大きな活力が宿ると説かれています。

ここでいうブラフマチャリヤは、単に欲望を抑え込むことではありません。エネルギーを無意識に散らすのではなく、自分の目的や真実に向けて大切に扱う姿勢を意味しています。感覚的な刺激や衝動に流されるのではなく、自分の意志で行動を選び取ること。それが節制の本質です。

人のエネルギーは有限です。考えすぎや欲望への執着、衝動的な行動によって力が分散すると、心も身体も疲弊していきます。しかし、自分の目指す方向を明確にし、そこに意識と力を向け続けるとき、内側から安定した強さが生まれます。

この節が伝えているのは、我慢による窮屈さではなく、意識的に生きることで生まれる力強さです。エネルギーを守り、整え、目的に沿って用いること。それによって、本来備わっている活力が自然と発揮されるのだと説かれています。

現代視点での解釈

第2章38節が伝えている「ブラフマチャリヤ(節制)」を、現代の生活にたとえるなら、“エネルギー管理”に近いかもしれません。

私たちは毎日、仕事や家事、育児、人間関係、スマホやSNSなど、さまざまな刺激に囲まれています。気づけば時間も気力も消耗していて、「やりたいことに使うエネルギーが残っていない」と感じることもあるのではないでしょうか。

例えば、夜に何となくスマホを見続けてしまい、睡眠時間が削られる。衝動的な買い物で後悔する。人の評価や刺激を求めすぎて疲れてしまう。こうした“無意識の使い方”が積み重なると、心の力は少しずつ分散していきます。

ブラフマチャリヤとは、それらを無理に我慢することではなく、「自分の大切な目的のために、エネルギーをどう使うかを選び直すこと」です。

本当にやりたいことに時間を使う。十分な休息をとる。感情に流されず、一度立ち止まって選択する。

そうしてエネルギーの使い方が整ってくると、不思議と集中力や持久力が増し、内側から安定した強さが育っていきます。

節制とは、自分を縛ることではなく、自分の力を守ること。

エネルギーを丁寧に扱うことで、本来持っている活力が自然と発揮される——それがこの節のメッセージなのだと思います。

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