「イーシュヴァラは特別な存在であり、煩悩・行為・その結果・心に残る印象の影響を受けない」 と説かれています。
つまり、苦悩や行い、行いの結果に縛られず、どんな状況にも揺れない自由な意識がイーシュヴァラであり、世界を保つ根本の原理として示されています。
パタンジャリはこのイーシュヴァラを、特定の人格を持つ“神様”というより、自然の摂理そのもの、純粋で変わらない意識の象徴として説明しています。
私たちの心は、過去の記憶や経験、人の言葉、感情、願望などによって簡単に揺れ動き、影響を受け続けます。
しかしイーシュヴァラは、そうした心の変化にまったく染まらない、深く静かで揺るがない意識の源。
ヨーガの学びでは、「本来の私たちの意識は、このイーシュヴァラと同じ純粋な性質を持っているが、日常の心の動き(ヴリッティ)によってその本質が見えなくなっている」と説かれます。
この節は、瞑想の実践を深めるうえで、揺れる心のさらに奥には、揺れない静けさが必ず存在している
ということを思い出させてくれる教えです。
例えると、心は絶えず形を変える雲のようなもの。
晴れたり曇ったり、雨が降ったり、風で流されたり、姿を変え続けます。
でも、どんな雲がきても、その奥にある空そのもの(広大で変わらない存在)は傷つかず、揺らぎません。
イーシュヴァラは、この“空”のようなもの。
ヨーガの実践は、雲(心の動き)ではなく空(本質)を思い出すプロセスだと感じます。
